2017年06月10日
 ■  在外研修報告「ロンドン」

私は、2015年11月から2016年9月までロンドンに留学した。イギリスの2016年と言えば、Brexitだ。6月に国民投票があり、2015年11月の時点で、EU離脱か残留かその是非についてメディアが毎日取り上げていた。そういう雰囲気の中での留学体験だった。

ロンドンでの生活はまず部屋探しから始まった。私は最初、「イギリス人」とルームシェアすることにこだわった。英語力を伸ばしたかったからだ。もちろん、その時のイギリス人のイメージは白人だった。しかし、国際都市ロンドンにはあらゆる人種が集まっていて、地下鉄に乗っても英語以外の言語がガンガン聞こえてくる。やがて、イギリス人=白人なんて思っていた自分が恥ずかしいとさえ思うようになる。そんな中、私のルームメイト、若い白人イギリス人は「俺は右翼だよ。移民は問題を起こしすぎるから、EU離脱に賛成だ。」なんてことを笑顔で言う。右傾化するイギリスを生活の中で体感することになった。

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12月、私はYellow Earthと出会う。多数派が白人と黒人のロンドン演劇界で、東アジア系の演劇人の活躍の場を増やす活動をしている劇団だ。彼らはTyphoonという東アジア系劇作家限定の戯曲コンペもやっていて、40以上の応募作から6作が選ばれ、リーディング上演される。私も自作を応募し選ばれた。出演者の中国系イギリス人の俳優とも仲良くなり、自分たちをBBCだと言っていることを知る。英国放送協会ではなくBritish Born Chinese。バナナだとも言っていた。外見は黄色でも中身は白いと。

時間は進んで、国民投票の翌日。俳優として参加していたフォーラム・シアターの発表公演がその日にあった。芝居の主題は、搾取されるウェイター(外国人労働者が就く場合が多い)。EU離脱がその日の朝決まり、客席を巻き込んだ熱い発言が飛び交ったが、私は、どこか熱くなれないままでいた。どこの国でも演劇に興味がある人はリベラルな人が多い。でも、私のルームメイトのような普通の人が右翼的だったりするのも、今のイギリスの一つの真実で、そういう普通の人に対して、自分はどのような演劇をぶつけることができるのか。苦味が残る思い出だ。

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投稿者 atsuto : 2017年06月10日 07:32

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