2015年03月27日
 ■  モズ企画・韓国新人劇作家シリーズ第三弾を終えて

今年も桜が咲き始める季節になってしまった。
「憂鬱郡悲し村老い里」の公演も、あっという間に終わってしまい、
僕の、タイニイアリスでの最後の公演が幕を下ろした。寂しい。
タイニイアリスで、もう二度と公演ができないことが、
言葉にできないほど寂しい。

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モズ企画の韓国新人劇作家シリーズについて、雑感を記しておきたい。
2012年から始まったこの企画も、もう三回を数える。
韓国の有名じゃないけど、優れた作家の作品を紹介するというのが、
本来の目的なのだが、
振り返ると、僕の演出家としての力が鍛えられる場だった。

他者の言葉と、どう向き合うのか?

新人劇作家シリーズをやる前は、
他人の戯曲を演出したいとは、全く思わなかった。
第一弾の「一級品人間」を上演した後も、
その気持ちはそんなに変わらなかったけど、
第二弾の「罠」の時ぐらいから、
他者の戯曲×自分の演出という掛け算の可能性が見えてきた。
自分の戯曲+自分の演出は、足し算。
でも、他者の戯曲を演出する時は、
その「×」の向こう側の、掛け算の世界がある気がするのだ。
そして、昔、蜷川幸雄が言っていた、好きな台詞が一つでもあれば、
その戯曲を演出できるという言葉の意味が、少しわかった気がする。
僕は、「憂鬱郡」の、「海で暴れる鯖のように、とてもピンピンとした」という
老人の台詞が大好きだった。

何人かの知人に、俳優の技量不足を指摘された。才能ではなく技量不足。
特に、板野君の、クライマックスの仮面をかぶったシーンの歩き方について。
あのシーンを思いついたのは、稽古の終盤ということもあり、
稽古中に、身体訓練をしていなかったこともあり、
確かに、技量不足は目立った。

昨日、次作のためのオーディションをやったのだが、
スローモーションできれいに歩ける人は、5人に1人もいなかった。
これでも舞台に立ててしまうというのは、
東京の小劇場の大きな問題点であり、
同時に、僕ら小劇場の演出家の責任でもあると思う。
作・演出が多いのも、その原因の一つではないかと思う。
つまり、自分の言葉の立体化に満足して、
演出家として、俳優に、
身体的な技量の基準を求める意識が疎かになっているという。
これについては、深く反省したい。

モズ企画では、本番の2週間前に、内部での公開通し稽古をした。
また、小屋入り全日にも、内部での公開通し稽古をして、
三団体の他の演出家から感想を聞く機会があったのだが、
僕には、これがとても有意義だった。
単純に、自分が気づけていないことに気づけたし、
この演出家はこういうところに目を向けるのか、
と演出家として視野が広がった。
この「本番2週間前、公開通し稽古」は、自分の劇団でも取り入れたいと思う。

興行的には、一般の観客になかなか見に来てもらえていない、
というのが課題である。身内のお客さんがほとんどなのだ。

タイニイアリスが無くなって、このシリーズが今後続いていくか、
今はわからないが、
韓国の無名の作家を紹介するだけでなく、
日本の無名の演出家が成長できる場なら、
この企画は、続けていかなくてはと思う。
次回以降は、自分は裏方に回り、
別の(無名の)演出家を迎えることも考えている。

2015年03月13日
 ■  もうすぐ本番「憂鬱郡悲し村老い里」!

もうすぐ本番です!モズ企画。
「憂鬱郡悲し村老い里」は、老いがモチーフです。

死が怖くて、仕方がありません。
自分の死もそうですが、近しい者の死が。
ここ最近、父や母の友人の死が相次いでいて、
残り時間を意識せざるをえません。

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この写真は、昨年の「匂衣」タイ公演で、
父を、字幕のオペレーターとして、バンコクに連れて行った時に、
現地の人しか乗らないような、街中の船で移動している時の写真です。
自分の父親に、自分の作品を手伝わせている演劇人は、
珍しいと思う(笑)。とても幸運だと思います。

さて、モズ企画。

エロティックな演出もうまくできあがり、
おもしろいし、笑えるし、楽しめる作品になったのだけど、
あと、もう一歩、「老い」とは何かに、迫りたいと思っています。
バンコクで父と過ごした日々に感じたことを、
どうにか、活かせないだろうか?

あと、ちょっともがきます。
なので、是非、見に来てください!
宜しくお願いします。

鈴木アツト

2015年03月06日
 ■  モズ企画 ~韓国新人劇作家シリーズ第三弾~

演出します!

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モズ企画 ~韓国新人劇作家シリーズ第三弾~
韓国 新春文芸戯曲部門2013受賞短編より、
選り抜きの3作を、回替わりで上演!
https://mozukikaku.wordpress.com/koreandramatist2015/

『憂鬱郡悲し村老い里』
2013年朝鮮日報新春文芸戯曲部門受賞

《作》  イ・ミギョン(女性)
《訳》  李知映
《演出》 鈴木アツト / 演出助手: 山村茉梨乃
《出演》 氷室幸夫、柴田あさみ、板野正輝、山村茉梨乃、本家徳久

《あらすじ》
老人は、七十前後にも関わらず髪の毛が真っ白だった。
妻を十二年前に亡くし、過疎の村で一人暮らしていたその老人はある事件に巻き込まれ、
今、街の警察署で若い刑事から取り調べを受けている。
久し振りにお喋り相手を得た老人の話は止まらない。苦笑いする刑事。
だが、その言葉の洪水の先には意外な真実が待ち受けていた。

《日時》
3月18日(水) 19:00 … 童話 / 同居 / アフタートーク
3月19日(木) 14:00 … 童話 / 同居 / 憂鬱
3月19日(木) 19:00 … 童話 / 同居 / アフタートーク
3月20日(金) 14:00 … 童話 / 同居 / 憂鬱
3月20日(金) 19:00 … 童話 / 憂鬱 / アフタートーク
3月21日(土) 14:00 … 憂鬱 / 同居 / アフタートーク
3月21日(土) 18:00 … 童話 / 憂鬱 / 同居
3月22日(日) 14:00 … 童話 / 憂鬱
3月22日(日) 18:00 … 憂鬱 / 同居
3月23日(月) 14:00 … 童話 / 憂鬱 / 同居
※アフタートークには、戯曲の作者が韓国から来日予定です。

《会場》新宿タイニイアリス
《チケット》前売り・3000円、当日・3500円

チケットのご予約はこちらから!!!
http://ticket.corich.jp/apply/61569/003/