2012年01月23日
 ■  読書日記2012年1月 その1

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「卍(まんじ)」
谷崎潤一郎・著
昭和3年から5年に雑誌で発表された作品。
谷崎が、関東大震災を経て、関西に引っ越した後、
関西の女性を関西弁の音の響きを通して描こうとした作品と言われている。
そんなわけで、「のん」=助詞「の」に鼻音がついた言葉の響きとか、
言葉が可愛らしい。

でもね、
美しい女は強く、その強さで崇拝する者を支配する、というSM的要素が、
谷崎の作品の強固な構造だと思うんだが、
「光子」は強さの部分で、完璧でないところがあって、
だから、その美しさの描写にもひび割れがある気がしてしまう。
Mの登場人物、そして読者を支配しきれてない。

足フェチの要素、現実がいつの間にか幻想にすりかわる構造、病気の描写、
などなど、
晩年の傑作の中に、散見する手法がまだ出てきていないのにも注目すべき。
要は大作家でも変わっていくということか。


「少年」
谷崎潤一郎・著
明治44年だから、谷崎が25歳の時に書いた短編。
子供たちのSMがモチーフで、ちょっとグロくて、ついていきにくい。
痛み系のSMより、精神支配系のSMを描く、谷崎の方が好きだ。

2012年01月17日
 ■  アリス30周年参考資料「ピッコロシアターのあゆみ」

タイニイアリス30周年記念企画、活動状況はこちら。
http://alice30.tinyalice.net/

早稲田の演劇博物館に行って、
「ピッコロシアターのあゆみ」を読んできました。

こちらの「OMSとその時代」とは違って、
思い出のインタービューはほとんどなく、
基本的には客観的データと写真で構成されていました。

本の構成は、
・ご挨拶
・30周年に寄せて関係者(知名度がある人)の一言
・10年間で受賞した賞
・自主事業のあゆみ
・施設の概要等
・催物日程表

です。この内、

・自主事業のあゆみ
・施設の概要等
は、さらに詳しく分かれていて、

・自主事業のあゆみ
1)鑑賞劇場(演劇の買い公演?)
2)室内楽サロン(音楽の買い公演?)
3)文化セミナー
4)実技教室(いわゆるワークショップ)
5)演劇学校
6)舞台技術学校
7)県立ピッコロ劇団
8)ピッコロフェスティバル
9)展示

施設の概要等
1)沿革
2)組織機構
3)施設の利用状況
4)資料室(蔵書)
5)研修等受入状況

となっていました。

思い出を語るという様式ではないので、
見た目は、やや寂しい感じがしましたが、
客観的なので、読んでいるといろいろ見えてくるものがありました。

たとえば、鑑賞劇場は、買い公演の年表ですが、
演劇の公演には、必ず1枚その公演の白黒写真が載ってました。
どんな芝居がやられてきたかが、
サーッとページをめくっていくだけで、頭に入ってきます。
(年表に載っていた情報は、年度、月日、団体と公演名、作、演出、出演者。)

また、演劇学校の応募、入学、修了の人数が、
毎年、きちんと報告されているので、
段々と応募者が減っていてる状況が見え、次の10年は学校は存続するのか、
など、考えさせられました。
やはり客観的というのは大事ですね。
※ピッコロ劇団に、俳優の空きがない、というのが不人気の理由みたいです。

買い公演と、付属劇団の公演、そして、全イベントの日程と、
一冊の中に年表が数種類あるし、
アリスの記念本のとても良い参考になる気がしました。

2012年01月11日
 ■  アリス30周年参考資料「OMSとその時代」

僕がお世話になっている劇場・タイニイアリスが、
2013年に30周年を迎えます。
今、30周年に向けて、記念本の出版を計画しています。
活動状況は、こちら。
http://alice30.tinyalice.net/

というわけで、いろいろな劇場の記念本を読んでいます。
「OMSとその時代―柱のある劇場 扇町ミュージアムスクエアの18年」
今日は、この本を読んだ感想をメモ。

大阪の小劇場、扇町ミュージアムスクエアの閉館を記念して、
出版された本で、

本の構成は、

1.巻頭グラビア
・カラーのチラシ(演劇と映画、それぞれ18枚ずつ)
・7回行われた劇場プロデュース公演の写真

2.インタビュー
・三つの時代に区切られた、演劇の作り手68人のインタビュー
・劇場にゆかりの新聞記者6人のインタビュー

3.巻末おまけ
・イラストの地図
・OMSの基礎知識(トリビア)
・年表(項目は、期間,団体名,タイトル,作・演出の名前)

内容の80%ぐらいが、2.の作り手68人のインタビューでした。
インタビューは、閉館を記念して作られた本だからか、
基本的には、OMSでの思い出を語るもので、
東京より大阪のほうが劇団同士が仲が良いなど、
演劇の地域性の違いも見えるような気がしました。

新聞記者のインタビューが、別の視点を獲得できていれば、
さらによかったと思うのですが、
こちらもOMSでの思い出を語るもので、
客観的にこの劇場がどう見られてきたのか、などは、
残念ながら、わかりませんでした。

その時期その時期の、劇場に対する客観的な評価というのは、
どうやって調べればいいのでしょうか?

2012年01月03日
 ■  金世一(キムセイル)の声のワークショップ

金世一さんに声のワークショップをやってもらいました。
動画は撮ったのだけど、写真を撮るの忘れてしまったので、
写真はなしです。

まず、芸術の訓練というものはどういうものなのか、を、
絵画や音楽を例にした説明から、ワークショップが始まったのが、
僕にはとても印象的でした。

「音楽なら、楽譜の読み方から始め、バイエルをやる。
簡単なものから順番にやっていく。要は、
芸術というものは、達人のレベルにいくために、
学ばなければいけない順番が決まっている。

では、演技が教えられるものだとしたら、
どんなプロセスを踏んでいくのか」

といった風に続いていくのでした。
説明がうまい人は、たとえ話をすごくうまく使うのですね。
そして、今回の内容をまとめると、、、

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金世一氏の、演技訓練において、最も重要なのが「自己意識」である。
よって、演技訓練も、自己意識を高めることをその目的にして行われる。
では、自己意識とは何か?

自己意識とは、決まっているある形=やるべきことをやりながら、
やっちゃいけないことをやらない、
を守るために自己コントロールをすることである。

ワークショップの参加者は、例えば発声訓練を通じて、
具体的な目標を持ち、その目標と自分がどれくらい離れているか、
距離をはっきりと認識する、ということを体験する。
それは、いい演技をするには、目標を正確にわかっていて、
効率的にコントロールしながらその目標へ自分を持っていくこと、
が必要だからである。

参加者が目標を自ら具体的に設定することを要求しているところが、
この演技訓練が非常に優れている点だと私は思う。
例えば、発声なら、まず自分の声を聞く。
今どういう声を出しているかをはっきりと認識してから、
次にどういう声を出したらいいか具体的にイメージする。
そして、目標に達するために何をするべきかを見極めて、
繰り返し練習する、というプロセスを踏む。

目標が明確なので迷いは生まれない。
また、『目標を正確にわかっていて、
効率的にコントロールしながらその目標へ自分を持っていく』
という原理さえ踏まえれば、
どんな訓練方法(日本舞踊、鈴木メソッド、パンドマイム等々)でも、
実際の役作りにおいても、応用できる。

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興味がある方は、今年もやりますので、是非ご参加ください。

-前回のデータ-
日時:2011年12月28日(水)18:30~22:00
場所:杉並区荻窪の劇団印象-indian elephant-の稽古場
参加費:1,000円
参加者:12名