2011年12月31日
 ■  大晦日にTPPについて考える

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大晦日にやるべきことかどうかはわからないが、
TPPについて調べてる。TPPって何?

そもそもアルファベットがわかりにくい。
Trans-Pacific Strategic Economic Partnership
=環太平洋戦略的経済連携協定。
わかりにくいが、TPPの3文字よりはわかる。

要は、環太平洋地域(太平洋を囲む形で存在している国々)で
自由貿易の原則を徹底して、
関税等々を撤廃しようとしている協定、らしい。

なんとなく、工業(外需産業)に従事している人は賛成し、
農業(内需産業)に従事している人は反対している構図がある気がする。
日本経済は、(少なくとも金額の面では)輸出企業が牽引しているから、
政府は、TPPに進めようとしている、というのが現状のようだ。

しかし、自由貿易=市場原理に全てを委ねてしまっていいのか?
効率だけを追求していった場合に、壊れてしまうものがあるのではないか?
では、その壊れてしまうものとは、何なのだろうか?
それを考えてみる。

非合理な農業行政によって、
高い食品を買わされている弱者=消費者という図式があるとして、
その非合理な農業行政を守っている関税障壁を撤廃し、
自由な市場によって、
弱者(=消費者)を不利益から開放する、というロジックはわかる。
でも、弱者(=消費者)保護と環境(≒共同体)保護が矛盾する場合、
手段の吟味が必要なのではないか?

TPPは、
既得権益であるかもしれない農協(僕は農協については詳しくない)
をやっつけてくれるかもしれないが、それと付随して、
日本の農村共同体をも一緒にやっつけられてしまうかもしれない。
つまり、悪い農協・悪い農家と、良い農家・普通の農家を区別なく、
根こそぎ倒してしまい、
農業を軸とした日本の共同体を壊してはしまわないだろうか?

日本の農業政策には確かに問題があるとして、
だから、必ずTPPなのか?別の手段はないのか?
そこを考えなきゃいけないのではないか。

2011年12月24日
 ■  読書日記2011年12月 その2

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「少将滋幹の母」
谷崎潤一郎・著
同じ作家を続けて読んでいくと、
あるモチーフが繰り返し使われていることに気づかされる。
たとえば、「痴人の愛」のナオミという人物は、
「刺青」の女にその原型を見出せるし、
「少将滋幹の母」では、現実の愛する人よりも、
記憶が幻想と交じり合ったイメージのその人の方が
美しくまた尊いのだという「春琴抄」のテーマが繰り返されている。

頭では主役のように描かれ、
やがて物語に出てこなくなってしまう「平中」というキャラが
僕にはおもしろかった。

女好きで、
当時の女性たちを口説いていく様子が細かに描かれているのだが、
もてるのに、ところどころが三枚目で、
肝心なところで失敗するのがかわいらしい。
墨の水の涙のくだりや、
ラブレターの二文字の返事のエピソードなどが特に。


「盲目物語」
谷崎潤一郎・著
今年の大河ドラマの「江~姫たちの戦国~」と同じ時代設定で、
お市の方に仕えた盲目の按摩の視点で語られる。
美しい日本語の古典的文体は読んでいて気持ちいい。

が、目が見えない男が、絶世の美女に仕えるという設定、しかも
始終その美女のからだに触れていられる(按摩という)設定なのに、
谷崎特有の変態性がほとんど出てこないのが残念。

「盲目物語」の二年後に発表されたのが「春琴抄」だから、
下書き的作品なのかもしれない。

2011年12月17日
 ■  読書日記2011年12月 その1

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「瘋癲老人日記」
谷崎潤一郎・著
時間を作って谷崎を読み漁る日々。
漢字とカタカナだけで綴られる文章の遊び性は、
句読点が極度に少ない「春琴抄」と似ている。
難しい漢字も多く、一々調べながらだと、時間がかかってしょうがない。
だが、段々慣れてくると、それが快感になってくる。
そして、最後でその結構が崩れる構成になっていて、見事の一言だ。

以上が様式的な話だとすると、
インポになった77歳の老人の性欲の話だという内容も、
とても「今」的だし、物凄い傑作だと思う。


「痴人の愛」
谷崎潤一郎・著
こちらは一人称で語られる告白調文体(ナレーション文体)。
妖婦に翻弄される男が、筒井康隆の登場人物のように、
徹底的に破滅していくので、笑えるのに、怖い。
特に男の読者は、身につまされるのではないか。

また、破滅によって、逆説的に救われるというのが、
谷崎潤一郎的だと思う。

2011年12月14日
 ■  「トゥールーズ=ロートレック」展

そんなにロートレックに興味はなかった
(あまり知らないから)んだけど、
タダ券をもらったので、ロートレック展に行ってきた。

ロートレックが芝居好きの人だったらしく、
女優の絵をたくさん描いてて面白かった。
なかでも、ロイ・フラーLoie Fullerをモデルにしててビックリ。
川上音二郎と貞奴のパリ万博での公演を後押ししたのが彼女なのだ。

彼女は、ダンサーだけど、
舞台照明というものをいち早くダンスに取り入れたことで有名で、
貞奴の演技がヨーロッパで評判を取ったのも、
ロイ・フラーの照明があったからこそらしい。
ロートレックが描いたロイ・フラーも七色の照明に光る姿なのだ。

他に、ロートレックは、
フットライト気味の光に照らされた女優の絵を何枚も残しており、
19世紀末、舞台芸術に照明という技術が入ってきたことが、
いかに、"事件"だったのかが想像できる。

というわけで、あまり絵画史を気にしないで、
演劇史的視点で、ロートレック展を見て来たのだ。

LoieFuller.jpg
ロートレックが描いたロイ・フラー

2011年12月13日
 ■  読書日記2011年11月 その2

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「永遠の0」
百田尚樹・著
「妻月」を観に来てくれたお客さんからもらって読んだ小説。
特攻隊として死んだ零戦パイロットの祖父を持つ青年が、
祖父の戦友たちに祖父がどんな人間だったのかを、
聞き取り調査しながら、祖父の本当の姿を知っていくというプロット。

零戦や特攻隊、太平洋戦争について、
時系列で知ることができる構成なので、
歴史の入門書としてもおもしろく読めた。
特攻隊の戦果確認を電信の打電(モールス信号)によって
特攻隊員自らがやらされていた、というエピソードは、
あまりにも悲惨で読むのが辛かった。