2011年08月10日
 ■  読書日記2011年8月 その1

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「母アンナと子連れ従軍記」
ベルトルト・ブレヒト著
帰国して最初に読んだのは、谷川道子・訳のこれだった。
ブレヒトの「肝っ玉おっ母とその子どもたち」の新訳だ。
恥ずかしながら、ブレヒトの戯曲はこれが初めてで、
だから過去の訳と比べてどうこう言えないけど、
この戯曲は相当おもしろかった。

主人公は戦争に食わせてもらっている従軍商人のシングルマザー。
「戦争なくして道徳心なし」「戦争が初めて秩序を作り出す」
など刺激的な台詞が満載。神父が
「平和は戦争の中にあり、戦争も平和だ」なんて言葉を吐くけど、
作家はどんな状況でこの戯曲を書いたのだろう?

この戯曲を読もうと思ったきっかけは、
密陽でこの芝居を見て、ストーリーがわからなかったからなんだけど、
演出的にいろいろ工夫があれば台詞がわからなくても、
もっと内容が見えたと思う。たとえば、
旧教軍と新教軍の軍服の色を赤と青とかはっきりと対比させるとか。

(密陽で見た芝居の)肝っ玉おっ母の職業も、わかりにくかった。
物を売っているのか?春を売っているのか?
娼婦だと演出的に明示したいなら、はっきり見せてほしかった。
従軍商人というものがなんとなくぼやけて見えた。
肝っ玉おっ母像は結構難しい。
叙情的に感情移入させては、
ただ単に戦争によって不幸にされた一人の女の話になってしまう。

彼女は、戦争の中でも、逞しく生きてきたし、これからも生きていく。
それこそが、
「平和は戦争の中にあり、戦争も平和だ」という言葉を、
アイロニカルに描く視点なのだと思う。

投稿者 atsuto : 2011年08月10日 14:19

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