流行りの口コミインフルエンザに感染して、
グリングの「海賊」を見に、下北沢へ。
ネットでの評判どおり、笹野鈴々音という役者が、
快演、はたまた怪演で、すごかった。
彼女の演じた役は、お菓子屋の娘で、
それとは関係なく、
「ナニナニですわ」とかお嬢言葉を使うキャラクターなんだけど、
それが、白鳥麗子調でもなく、もちろん、叶姉妹調でもなく、
持って生まれた生来の明るさゆえに、
お嬢言葉になってしまうのですわ調だった。
だから、全然嫌味でなく、愛すべき下町のお嬢様という感じだった。
(舞台が下町がどうかは知らないが)
もう一人、よかった女優がいて、こっちは、峯村リエ。
そんなに美人ではないが、背が高く、髪が長い。
イメージとしては、坂本竜馬の姉の乙女さんという感じで、
ただ、性格は、お転婆ではなく、
向田邦子の「あ・うん」の、たみさんという感じかな。
和服が似合っていたし。
彼女が、感情の抑えがきいたフラダンスを、
ムーンリバーに合わせて踊るシーン、これがとてもいいのだけど、
僕が、好きだったのは、帯を直すか何かで、
長い髪を下ろすシーンがあって、
それを別の役者が見ているというところが、
なんとも色気があってよかった。
髪を下ろしていたのがよかったのではなく、
髪を下ろしていたのを見られているというのがよかった。
笹野鈴々音は、全編を通して、印象的で、
峯村リエは、ポイントで、とてもよい、そういう配置かな。
この二人は、ちょっと抜けていて、
他の役者は、うまいけど、華がなかった。
お芝居全体としても、以前に見た、松尾スズキの、
ドライブインカリフォルニアに似ていて、
そちらに比べて、ちょっと華がない、
味はあるけど、華がないという感じがした。
その、華のなさは、狙いなのかもしれない。
どちらも、チェーホフの桜の園モチーフなのだが、
(かつて生活の主体であったある場所に登場人物たちが戻ってくる)
一方が、何十年かに一度、竹の花の咲く竹林に囲まれたドライブイン、
もう一方は、父から次男に相続された、流行ってはいないが、
すぐにつぶれるというわけではない、理髪店。(そこに長男が帰ってくる)
つまり、場所の設定からして、中途半端。やはり、わざとか?
結局、オフビートで、2時間10分の作品というのが、よくないのかもしれない。
僕は、もうちょっと、役者も、演出も、物語も、華があるのが見たいと思った。
まあ、好みだろうけどね。
