昨日、大阪で、
太田省吾の「小町風伝」を上演中の李潤澤(イ・ユンテク)先生に、
挨拶に行ってきた。
その席で僕は初めて、先生から、いい作品を書く若手作家として扱われた。
とても嬉しかった。いや、こんなに嬉しいことはないくらい嬉しい。
というのは、ユンテク先生とは、何度もお会いしてるが、
こんな風に僕を見てくれたことは今までなかったのだ。
2009年にソウルに初めて行った時、2010年の新宿でのワークショップ、
2011年のミリャン演劇祭、そして、2011年のタイニイアリスでの公演。
どこで会っても初めてあったかのような感じだったし、
全く作り手として認識されていない感じだった。
はっきり言って、会う度にしょんぼりしたものだ。
しかし、2011年のミリャン演劇祭に行った時、
先生に直接渡す勇気がなかったから、僕は、ある若いスタッフに、
僕が書いた「匂衣(におい)」の日本語台本を渡した。
それを、劇団の幹部の人が読んでとても気に入ってくれて、
僕が知らないところで韓国語に訳され、
ほんの最近、先生も読んでくださったらしい。
そして、どうやら面白いと思ってくださったようなのだ。
「太田省吾のような文学性の高い作品ではないが、
演劇的で遊び性にあふれている。」
そんな風に言ってくださった。
想像してほしい。
自分が一流だと思ってる演劇人に、
しかも今まで全く相手にされてなかった人に、
作家として褒められたんだぜ?
嬉しくないはずがない。
「匂衣」は、2/13から3/17まで韓国でやる演戯団コリペのワークショップの、
日本人参加者向けの、課題戯曲に選ばれていた。
それだけが理由ではないが、僕もそのワークショップに参加することにした。
うまくいけば、韓国で公演ができるかもしれない
(演出は僕じゃなくて別の人が担当する)が、それはまだわからない。
というわけで、来週から韓国に行ってきます。
(ワークショップに参加するのを決めたのは、
課題戯曲が「匂衣」だと知る前だった。
だから、ある日本人作家の作品と聞いていたものが、
自分の書いたものだと知った時は、かなり驚いた。)
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「卍(まんじ)」
谷崎潤一郎・著
昭和3年から5年に雑誌で発表された作品。
谷崎が、関東大震災を経て、関西に引っ越した後、
関西の女性を関西弁の音の響きを通して描こうとした作品と言われている。
そんなわけで、「のん」=助詞「の」に鼻音がついた言葉の響きとか、
言葉が可愛らしい。
でもね、
美しい女は強く、その強さで崇拝する者を支配する、というSM的要素が、
谷崎の作品の強固な構造だと思うんだが、
「光子」は強さの部分で、完璧でないところがあって、
だから、その美しさの描写にもひび割れがある気がしてしまう。
Mの登場人物、そして読者を支配しきれてない。
足フェチの要素、現実がいつの間にか幻想にすりかわる構造、病気の描写、
などなど、
晩年の傑作の中に、散見する手法がまだ出てきていないのにも注目すべき。
要は大作家でも変わっていくということか。
「少年」
谷崎潤一郎・著
明治44年だから、谷崎が25歳の時に書いた短編。
子供たちのSMがモチーフで、ちょっとグロくて、ついていきにくい。
痛み系のSMより、精神支配系のSMを描く、谷崎の方が好きだ。
タイニイアリス30周年記念企画、活動状況はこちら。
http://alice30.tinyalice.net/
早稲田の演劇博物館に行って、
「ピッコロシアターのあゆみ」を読んできました。
こちらの「OMSとその時代」とは違って、
思い出のインタービューはほとんどなく、
基本的には客観的データと写真で構成されていました。
僕がお世話になっている劇場・タイニイアリスが、
2013年に30周年を迎えます。
今、30周年に向けて、記念本の出版を計画しています。
活動状況は、こちら。
http://alice30.tinyalice.net/
というわけで、いろいろな劇場の記念本を読んでいます。
「OMSとその時代―柱のある劇場 扇町ミュージアムスクエアの18年」
今日は、この本を読んだ感想をメモ。
金世一さんに声のワークショップをやってもらいました。
動画は撮ったのだけど、写真を撮るの忘れてしまったので、
写真はなしです。
まず、芸術の訓練というものはどういうものなのか、を、
絵画や音楽を例にした説明から、ワークショップが始まったのが、
僕にはとても印象的でした。
「音楽なら、楽譜の読み方から始め、バイエルをやる。
簡単なものから順番にやっていく。要は、
芸術というものは、達人のレベルにいくために、
学ばなければいけない順番が決まっている。
では、演技が教えられるものだとしたら、
どんなプロセスを踏んでいくのか」
といった風に続いていくのでした。
説明がうまい人は、たとえ話をすごくうまく使うのですね。
そして、今回の内容をまとめると、、、
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大晦日にやるべきことかどうかはわからないが、
TPPについて調べてる。TPPって何?
そもそもアルファベットがわかりにくい。
Trans-Pacific Strategic Economic Partnership
=環太平洋戦略的経済連携協定。
わかりにくいが、TPPの3文字よりはわかる。
要は、環太平洋地域(太平洋を囲む形で存在している国々)で
自由貿易の原則を徹底して、
関税等々を撤廃しようとしている協定、らしい。
なんとなく、工業(外需産業)に従事している人は賛成し、
農業(内需産業)に従事している人は反対している構図がある気がする。
日本経済は、(少なくとも金額の面では)輸出企業が牽引しているから、
政府は、TPPに進めようとしている、というのが現状のようだ。
しかし、自由貿易=市場原理に全てを委ねてしまっていいのか?
効率だけを追求していった場合に、壊れてしまうものがあるのではないか?
では、その壊れてしまうものとは、何なのだろうか?
それを考えてみる。
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「少将滋幹の母」
谷崎潤一郎・著
同じ作家を続けて読んでいくと、
あるモチーフが繰り返し使われていることに気づかされる。
たとえば、「痴人の愛」のナオミという人物は、
「刺青」の女にその原型を見出せるし、
「少将滋幹の母」では、現実の愛する人よりも、
記憶が幻想と交じり合ったイメージのその人の方が
美しくまた尊いのだという「春琴抄」のテーマが繰り返されている。
頭では主役のように描かれ、
やがて物語に出てこなくなってしまう「平中」というキャラが
僕にはおもしろかった。
女好きで、
当時の女性たちを口説いていく様子が細かに描かれているのだが、
もてるのに、ところどころが三枚目で、
肝心なところで失敗するのがかわいらしい。
墨の水の涙のくだりや、
ラブレターの二文字の返事のエピソードなどが特に。
「盲目物語」
谷崎潤一郎・著
今年の大河ドラマの「江~姫たちの戦国~」と同じ時代設定で、
お市の方に仕えた盲目の按摩の視点で語られる。
美しい日本語の古典的文体は読んでいて気持ちいい。
が、目が見えない男が、絶世の美女に仕えるという設定、しかも
始終その美女のからだに触れていられる(按摩という)設定なのに、
谷崎特有の変態性がほとんど出てこないのが残念。
「盲目物語」の二年後に発表されたのが「春琴抄」だから、
下書き的作品なのかもしれない。
